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ショーケース

ショーケース

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2025-10-02

乾山松文火入

直径8.8×高さ8.5cm

尾形乾山(1663-1743)は、江戸時代初期の後水尾天皇の中宮であった東福門院の御用達を務めた呉服商「雁金屋」尾形宗謙(おがたそうけん)の三男として生まれました。「琳派」を代表する尾形光琳は5歳年上の兄弟で、乾山も兄と同様に多彩な才能を持ち、書画や陶器の絵付けなど優品を多数残しています。

もともと本品は筒向付として作られたものでしょう。筒状に薄く轆轤引きされた胴部には、松の樹が2本高低差を付けて描かれています。内と外の上部に白化粧を施して上から鉄絵と染付で絵付けする銹絵染付の技法を用いており、乾山の得意とする意匠です。松の幹は兼六園の根上松のように曲がり、余白を生かした大胆な図案から、洗練された雰囲気が醸し出されます。
底は輪高台に土見せとなり「乾山」の銘が記されています。