2025-06-04
古備前茶入「千とせの影」
胴径6.4×高さ7.3cm
備前焼は現在の岡山県備前市伊部(いんべ)を中心に、平安時代末期より800年に渡って作られてきました。中世六古窯の一つにも数えられ、釉薬を用いず高温で焼成する「焼き締め」の技法に特色があります。壺、甕、擂鉢などの雑器から雅趣に富んだ侘びた茶陶に至るまで、数々の名品を多く焼成したことで知られています。
窯変によるその景色が見どころのこの茶入は、肩が張り胴がやや膨らんだ手取りのいい姿をしています。備前焼ならではの土味豊かなほのかに赤黒い褐色の器体で、一方の口から耳、胴にかけてゴマや榎肌がしっかりと見られます。その作振りにふさわしく、「千とせの影」の銘が遠州流8世小堀宗中により付き、12世小堀宗慶による「かみかぜや みもすそ川の清きせに 君が千とせの影ぞみえける」の箱書きがあります。仕覆は白地丸龍文金蘭と茜地間道の2つが添っています。
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