2025-06-04
尾戸焼茶碗
胴径12.5×高さ8.3cm
尾戸焼(おどやき)は高知県小津町(旧江ノ口村の尾戸)で焼かれたやきもので、小津焼とも呼ばれます。土佐藩2代藩主山内忠義が大阪から陶工久野正伯を招き承応2年(1653)に藩窯として開窯。白土を用いた端正な薄作り、淡色の地肌に呉須で絵付けをしたものが代表的で、京焼風の雅味ある茶陶を中心に、御本茶碗、青磁、唐津風、色絵などが作られました。
薄い轆轤引きで木瓜に形どられたこの茶碗は、御本茶碗の一種「弥平太(やへいた)」を思わせ、松、竹、双鶴という吉兆モチーフが素朴な筆致で呉須でやわらかく描かれます。鶴の羽先や松葉、笹葉がひとつひとつ生真面目に描写され、全体に貫入の入った白い陶土の中での絵の構成とデフォルメの具合が特徴となっています。手取りもよく、おめでたい雰囲気でありながら、柔らかさと華やかさが雅な印象を与えるお茶碗です。
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