2025-05-02
松双鶴錫縁香合
幅6.7×奥行6.7×高さ3.7cm
錫縁香合とはもとは蒔絵手箱の中にあった小箱で、白粉箱やお歯黒箱、薫物入れ、鏡巣(きょうす)など貴族の化粧道具であり、中世には神仏への奉納品として作られたものもあります。茶の湯の炭点前で使う香合として、当時の茶人の見立てによって取り入れられたのが始まりです。錫縁という名前の通り、身と蓋の合口に錫の置口が付けらた蓋ものの総称で、経箱、手箱など古くから見られます。
正方形の角丸、錫縁の合口であるこの香合は、蓋はやや甲盛にふっくらと、総体は黒漆塗に梨地を蒔いて作られます。蓋表には松葉を中心に双鶴がシンボリックに描かれ、その貴族社会に受け入れられてきたお洒落な意匠と雅やかな佇まいが本品の見どころとなっています。吉祥を表す気品のある香合で、いまにも名香の良い香りが聞こえてきそうです。
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