胴径12.1×高さ24.2cm

古銅とは銅を主体とした錫や鉛の合金ことで、唐銅（からかね）ともいいます。古代青銅器を模した銅器として中国より持たらされ、鎌倉時代より禅宗寺院などの什器として重用された後、室町時代になると花入として使われるようになったようです。古銅の花入は真の花入として格調高いとされ、首が長く細口のもの、獣状の耳が付いたもの、姿の優美なもの、古銅独特の地文が特徴的なもの等多様な意匠が存在します。

胴が膨らんだ定番の形をした本品は、頸の両側にひょろりと細長い鼻を持った目が丸く愛らしい象の姿をした耳が付けられ、一番の見どころとなっています。耳の付け根の首回りと胴上部には花累座の飾りが巡り、胴中部には中国神話の怪物で魔除けの意味を持つ饕餮（とうてつ）文様が回っています。存在感のある真の花入であり、おおらかで優しい姿が広間の床の間と良く調和する一品です。
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