2024-11-17
呉器茶碗「雲井」
直径17.8×高さ17.1cm
「呉器茶碗」は、「五器」「御器」などと表され、高麗茶碗の中では井戸茶碗と並んで古格のある茶碗として、室町時代後期より使用されてきました。大徳寺呉器、紅葉呉器、遊撃呉器、錐呉器など、作行きによってそれぞれに呼び分けられます。大振りでゆったりとした形に高く付けられた高台が特徴的で、祭器として作られたとも考えられています。
柔らかですべすべした土味をもつこの茶碗は、薄作りでゆったりと高さのある端正な碗形をしています。呉器茶碗らしく底に向かって開いた撥高台をしており、胎土の残し方や指痕など作為性も感じられますが、むらむらと朧気な枇杷色の釉景は、幽玄に満ちた味わいがあります。
外箱は紅心宗慶で、蓋裏には後撰和歌集にある、「言はねども我が限りなき心をば雲井に遠き人も知らなん」が添っています。