2024-09-10
金馬茶箱
幅22.8cm×奥行15.4×高さ12.4cm
「金馬」とは黒漆を下塗りした表面に小刀で文様を線彫し、その上から赤色などの色漆を埋め込んで研出し文様を表す技法で、タイやミャンマーなどの東南アジアの国で作られました。日本には桃山~江戸時代を通じてもたらされ、茶箱をはじめ、香合や茶器、菓子盆などが茶席に取り入れられました。特に茶箱は利休所持のものが有名で、異国情緒に富んだ文様からくる独自の表情が人気の理由でしょう。
金馬は多角形のものがよく見られますが、本品も八角に面取りされた、金馬らしい造形です。蓋の甲中央が一段盛り上がる様に作られ、向こうの影絵人形劇のようなタッチで鳥獣が大きく緻密に描かれます。竹を編んで作られる籃胎は、蓋を開けた見込み、そして身の裏側を見ると分かりやすく、幾重にもなった造形は見どころの1つとなっています。茶箱としては勿論、身だけを用い莨盆としても楽しむことができる佳品です。