直径8cm×高さ3.7cm

青磁は「青磁釉」と呼ばれる淡青や淡緑色をした透明感あるやきもので、その発色は鉄を呈色剤に用いた還元焼成によって生まれる特有のものです。中国を主とした東アジアで作られ、日本には平安時代より渡来、茶の湯においては、格の高いものとして重宝されてきました。なかでも中国の浙江省龍泉窯で作られたものは、南宋時代の「砧青磁」、元から明初時代の「天龍寺青磁」、明末から清時代の「七官青磁」と時代によって大別されています。
この盃はその中での砧青磁にあたり、小さな高台に青磁らしい爽やかな発色、そして端正な佇まいをしています。見込みにさりげなく刻印された花は、涼しげな夕顔の蒔絵の挽家に収まっていることから、夕顔を指すのかもしれません。手の中に包み込めるちょうどいい大きさに口当たりも滑らかで、状態も良く嬉しい一品です。