2024-08-04
古高取水指
幅21.3×奥行21.5×高さ20.6cm
高取焼は、文禄・慶長の役の際、藩主黒田長政の命により福岡藩に連れてこられた朝鮮陶工の八山(高取八蔵)が、鞍手郡の鷹取山西麓にて開窯したのが始まりとされています。趣のある釉景や変化に富んだ造形が特徴で、古くより多くの茶人に好まれ、小堀遠州の指導を受けた「綺麗さび」の茶陶として一般的に「遠州髙取」とも呼ばれています。
この水指はその時期より数十年以前、桃山時代の雰囲気をとどめた初期の「古高取」と呼ばれるやきもので、力強く豪快な佇まいは、美濃伊賀の造形を倣っているようです。矢筈口に、胴はくびれて頸部となり強い凹線をめぐらせ、腰から下は手びねりの歪みがあり、底部は三方を大きく凹ませることで構成的に3つの脚を作り出しています。威厳を放った姿の中にも肩の張らない柔らかな量感がある、魅力的な優品です。