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ショーケース

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2024-08-04

織部香炉

直径7.6×高さ8.9cm

織部焼は17世紀初め・桃山時代末期に美濃地方で作られたやきものの1つです。茶碗や水指、香合などの茶道具から多様な食器類に至る優品を多く制作し、その作風や技法もさまざま、青織部、赤織部、黒織部、志野織部、弥七田織部等々分類も多くあります。特に茶の湯においては千利休の高弟・古田織部の名前を冠し、彼の好みが反映された、型破りの造形と遊び心あるデザインが今なお根強く人気です。
この火入は白い胎土に鉄絵具で文様を描き、上から長石釉をかけ、その一部に緑釉を施した最も一般的な織部焼で、いわゆる青織部と呼ばれます。上段は丸みを帯び、下段は底部に向かって直線的に広がっており、どことなく古墳をイメージさせる二段成形がされて、座りのいい安定感があります。流れ掛けた緑釉と拮抗するように、白釉の部分には縦筋と亀甲文が描かれ、織部らしい変化に富んだ見どころを感じられる一品です。秋らしい落ち着いた色合いで、待合や腰掛の火入としても楽しめそうです。