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ショーケース

ショーケース

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2020-07-09

青貝柳燕図香合

径7.4 高2.2 cm

青貝は螺鈿ともいわれ、夜光貝・鮑貝などの真珠光を利用し文様を表しているものをいい、使われる貝片は光の加減で青・黄・赤など様々な輝きを発しますが、特に青みを帯びたものが多いところからそう呼ばれています。この香合は、真横から見ると「一」に見えるいわゆる一文字形をしており、円形で平たい甲には、黒塗された素地に風にたなびいてしなやかに揺れる柳の小枝と、そこに掴まって優雅に休んでいる燕、その休んでいる燕にまるで話しかけるように飛んでいる燕を青貝でもって、シンプルかつ非常に大らかなタッチで表現されています。柳は魔除けや邪気払いの植物とされ、柳が芽吹く頃燕は日本にやってくるため、柳と燕の組み合わせは初夏の情景を表す画題として古来より描かれています。垂直な側面にも青貝で、幾何学的に亀甲文様を身にも蓋にもぐるりと一周に渡って巡らせており、甲とはまた違う印象を与えてくれています。蓋を開けると現れる、ただ立ち上りがあるだけの雑味のないその内側は、年月とともに漆が透けてほんのりと赤みを呈し、漆面に生じた時間だけが創り出す事の出来る無数の断文が、これでもかというほどの味わいを横溢し、経てきた時代がそこに染み込んでいるのを感じさせてくれます。風炉の汗ばむ時節の茶室で使えば、きっと柳を揺らす涼やかな心地の良い風を感じさせてくれる事でしょう。遠州流12世小堀宗慶が「唐青貝 香箱 柳に燕」と箱書付をしています。